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アジアの織物 PANDAN TREE blog

~アジアのことから身近なことまで、きままブログ~
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一枚のイカットができるまで

だいぶ暖かくなってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
こちら神奈川も桜が散り始めましたが、これから夏に向けて一気に暑くなってくるのでしょうか(^^;。

さて、これまでPANDAN TREEのコラムや織物情報サイト内などで、イカットの制作工程をご紹介させて頂いておりますが、今回はイカットが出来るまでの、おおよそ・・・、だけれども(^^;、具体的な期間についてのお話しを。

私自身、スンバ島イカットが大好きなためか、その紹介にはどうしても浮足経ってしまうことが多かったりします(*^^*)。
こういった店主といったこともあってか、日頃ご愛顧頂いているお客様の中にも、やはりスンバ島イカットの魅力にはまってしまった方も多く、色々とご質問やお問い合わせを頂く事がございます。

その中で、
「一枚のイカットが出来るまで、実際どの位の時間が掛かっているのですか?」
といったご質問を頂く事も。

世界的にスンバ島イカットと言えば、ヒンギーと呼ばれる男性用の腰衣兼肩掛けを思い出される方が多いかと思います。
このヒンギーは、腰から肩へと身体に巻きつけるように使用されるため、大きさは幅1m前後、長さが2m前後と大判の部類になります。

では、この位の大きさのスンバ島イカットが出来るまでの各工程に費やされる時間とは・・・。

モチーフの細かさや、糸の染めのなど、各作り手さんの拘りによって多少の違いは見られますが、一枚のヒンギーが出来上がるまでに、おおよそ一年程の期間が費やされます。

ネットや本などの東南アジアの染織情報で、
「一年という期間をかけてスンバ島のイカットは作られます」
といった記述をご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、これまで島でお話しを伺ってきた感じでは、通常のイカットづくりにおいてはおおよそ正しいのではないかと思います。

まず、スンバ島イカット作りの工程を、ごくザッとご紹介しますと、

(1)糸を括る
(2)糸を染める
(3)織る

といった感じになります。

現在は機械紡績糸での染織が主体となっておりますので、染織に先立つ綿の栽培や採取、綿打ち、そして紡ぎといった工程はありませんが、機械紡績糸の状態や地域によっては、予め洗ったり精錬したり、または使用する染料によっては染色時に染料が浸透し易いように(濃く染まりやすいように)、媒染材に浸したり煮たりすることもあります。

ではまず、
(1)糸を括る

スンバ島イカットづくり1

モチーフ(文様)の展開が肝とも言えるスンバ島イカットの中でもヒンギーのような大判な織物の場合、やはりある程度の期間が掛かり、2ヵ月程費やされます。
ただ、イカット一枚分ずつを括るのではなく、現在では多い場合は4~10枚分、モチーフの表れ(絣足の鮮明さなど)に拘ったつくり手さんだと3枚分程に限定して、纏めて括られます。
昔はつくり手さんが頭の中のイマジネーションを駆使して下絵なしに括りが行われていましたが、昨今は下絵を描いて括られる事が多くなりました。

(2)糸を染める

スンバ島イカットづくり2
スンバ島イカットづくり3
スンバ島イカットづくり4

スンバ島イカットの場合、主に使用されるのは藍、茜、ウコンなどとなりますが、各色、染めては一日掛けて乾かし、また染めては乾かし・・・という作業を、納得のいった濃さになるまで繰り返します。

例えば藍の場合は、淡く染めるには2回、濃く染めるには5回染めを繰り返すそうで、こうした濃淡を活かしたイカットは、非常に手の込んだ物とされます。
因みに、季節によっても綿糸への染料の浸透具合が異なるため、雨季には5回程で濃く染まるのが、乾季は10回程染めないと濃くならないそうで、平均すると藍染めには2ヵ月程掛けているそうです。

このような具合に、各色納得のいく色合いになるまで、繰り返し染めていきます。

因みに、原料となるインド木藍は4ヵ月で育つそうです。

この「染め」の後に、括りを解き、木枠に掛けて整経をしますが、この整経過程も、しっかりしたモチーフのイカットを作り上げるのに重要な工程です。
地道な作業ですが、1日2日で済むという訳でもなく、数日かけてじっくりと模様合わせをしていきます。

(3)織る

スンバ島イカットづくり5

染織風景というと、この織り作業を思い浮かべる方も多いかと思いますが、実は織り作業は他の工程に比べると意外と短く、2週間程となります。
この2週間というお話しをすると、大きさの割に意外に短時間に思われる方も多いようで、逆に括りや整経といったこれまで目に付き難かった工程に興味を持たれ始める事も。

そうなんです。
この括りや整経は地味な作業なので、スポットライトが当たり難いのですが、イカットの出来栄えを左右する非常に肝心な工程なんですよね(^-^)。

尚、雨季は農作業に力を入れるため、染織活動が盛んになるのは、主に乾季となります。
そうした生活サイクルという事もあり、一枚のイカットが出来上がるまでが、約1年となるそうで、括りや染めなどで幾枚分かの制作を進めていく事もあり、一人の女性が一年につくるイカットの数は、およそ10枚前後とされます。

スンバ島イカットづくり6

前出のように、1970~80年代頃から機械紡績糸が広まる前は、綿の栽培~収穫~綿打ち~紡ぎの作業も必要でしたので、当時の苦労も大きかったのでは・・・と思います。

因みに、以前当ブログでも紹介させて頂いたのですが、いにしえの再現という事で、スンバ島産の手紡ぎ綿を集める事からイカットづくりをした島の知人は、綿集めに2年(!)掛かり(^^;、その数年後、もう一枚分を栽培してギブアップしたそうです(^^;。

スンバ島はサバンナ気候という事で、乾燥の厳しい島ではありますが、代々伝えられてきた文化に包まれた非常に魅力溢れる島です。
そんな島で染織を行っている魅力的なつくり手さん達に、是非会いに行ってみて下さい(^-^)。

スンバ島藍染めイカット

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