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アジアの織物 PANDAN TREE blog

アジアのことから身近なことまで、きままブログ
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織物の中のモチーフ【牛】

早いもので、もう師走。
年末年始はクリスマス・大晦日・お正月と、何かと忙しくなってきますが、どうぞお体に気を付けてお過ごし下さいませ。

さて、今回は久し振りに「織物の中のモチーフ」シリーズを。
今回のお題は「牛」。

「牛」と言えば、以前、牛の角を基にした「鉤文」のモチーフをご紹介させて頂いた事があります。
因みに、この「鉤文」と牛との関わりを改めておさらいさせて頂くと、

スラウェシ島トラジャ族によってつくられる茜染めのイカットの中には、セコマンディ(Sekomandi)と呼ばれる幾何学文様があしらわれる事が多いのですが、このセコマンディは‘大きな鉤’といった意味合いを持つそうです。
そこから、こうした鉤文があしらわれたトラジャ族の茜染めイカットはセコマンディと呼ばれたりしますが、この文様には水牛に因む意味合いが含まれているのだとか。

セコマンディ

トラジャ族は水牛を聖なる象徴と捉えており、その水牛の角なども幾何学的に表して、優れた子孫の誕生を祈念したり、祖先崇拝といった意味合いを込めたそうです。

そして、ティモール島の織物にも類似した水牛の角を基にしたカイ(Kai)やカイニー(Kainee)、カイフ(Kaif)と呼ばれる「鉤文」があしらわれる事が多く、その角は生命を表すとも言われているそうです。

カイ

また両地共に、水牛は祭儀の際の供犠として重要でもあります。

・・・と、幾何学的に牛の角を表した文様に関しては以前ご紹介させて頂いておりますが、今回は、牛そのものをあしらった文様について。

ここで登場するのが、私の大好きなスンバ島イカット。
スンバ島でも、牛と言えば‘水牛’がメインとなりますが、その水牛は、

ラジャ(王)の血統のシンボル
富の象徴(儀式の際に生贄にされたことから)
ラジャの葬式の際の供え物

という事で、『ラジャ(王)』や『富』を表す文様とされます。

その様な訳で、イカットの中にもラジャと共にあしらわれる事も多く、

王の証として牛と共に織り込まれたり、
スンバ島イカットの牛

王様の生活風景や葬儀の様子などを織り込んだ「ラジャストーリー」と呼ばれるイカットの、王様の家の飾りにも登場したりします。

スンバ島イカットの牛飾り

因みに、この水牛の頭蓋骨の飾りは、権力や富の象徴だそうで、全ての家に飾られている訳ではなく、村の権力者の家などに飾られています。

戸口の装飾

因みに、王族のお墓のドルメンにも、牛が彫り込まれております。

スンバ島ドルメン

このように、スンバ島の織物の中では、牛は王族にまつわる文様として登場する事が多くあります。

・・・と、王族と水牛の係わりを述べさせて頂きましたが、もちろん、王族以外の庶民の間でも、いにしえから農耕の際には重要な労働力として人間を助けてくれる、ありがたい存在でもあります。

そんなスンバ島随一の町ワインガプの中心地で、のんびり草を食む子牛。
イカットの名産地は、こんな喉か~な島だったりします(^-^)。

スンバ島の牛

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