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アジアの織物 PANDAN TREE blog

アジアのことから身近なことまで、きままブログ
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織物にまつわる数あれこれ

梅も咲き始め、ようやく春の気配が感じられる今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、PANDAN TREEもこの春で、オープンから足かけ14年目。
その2年程前の2000年から開店のために染織探しを始めておりますので、正味16年といったところなのですが、改めて振り返ってみると、う~ん、長かったような、あっという間だったような・・・。

取りあえずの私的な抱負は、
「10年20年後も、元気に織物を探しに暑い(時折寒い)東南アジアを元気に駆けずり回れるよう、日々の体力作りは欠かさずに♪」
といった感じでしょうか(^^;。

そんな訳で、長年、東南アジアに特化した織物屋を運営しておりますと、東南アジアの織物に関する様々なご質問やご依頼のお問い合わせを頂いたりします。
そんな中で時折頂くお問い合わせの中で、なかなか一言ではお伝えし難いお話しを、今回はさせて頂こうかと思います。

それは『枚数』。

う~ん、『枚数』と書くとちょっと違うのかもしれないのですが、要は、

(1)イカットは量産されているのか
(2)全く同じイカットはまた手に入るのか

・・・といったお話しです。

「以前あった○○イカットと同じ物はまた入荷しますか?」
「前に本で見かけたこういう織物と(ほぼor全く)同じ物が欲しいのですが・・・。」
といったお客様からのお問い合わせもありますし、

「○○と同じ物を数十枚欲しいのですが」
や、
「○○を○メートル分欲しいのですが」
といったアパレルさんからのお問い合わせもありますが、

“全く同じ”
かつ
“同じ(均一の)コンディションで”

“数十メートル分”
といった観点から言うと、(当店で扱っているような手織物の場合ですと、喉かな環境で家事の合間に女性達が軒先でのんびりと少量ずつつくっている物が多いので)難しい・・・いや、直球で言うと無理だったりします(^^;。

かてて加えて、昨今は近代化の波で染織があまり行われなくなってしまった地域などもあり、入手困難となってしまった部類の織物も増えつつあります。

当店で扱う織物は腰巻や肩掛けなどの民族衣装、またはいにしえからの伝統にのっとったスタイルの寝具などの日常生活の必需品としてつくられてきた物が大部分で、人々の体や目的の日用品の大きさに合わせてある程度の長さで織り終わり、仕立てられ、使用されてきた物。

近年はインテリアのクロスなどを用途としてつくられる織物も増えましたが、当店の取扱い品はフリンジなどが付けられある程度の長さで仕上げられた物が殆どで、通常の生地屋さんで見られるようなロール状の長尺の状態ではなかったりします。

ですので、長さに関しては大概が1~2メートル。
長くても3メートルといった感じでしょうか。
稀に、祭儀用として幟のように数メートルの長~い手織物がつくられていた地域もありましたが、今では殆ど見かけられない稀有な織物となっております。

あとは、腰機(地機)の場合は延々とエンドレスに織れないといった織機の構造上の事情もあります。

ですので、手織物に興味を持ち始めて間もなくのご様子の方で、
「なぜ長く作っていないの?どうして(マシンメイドの布のように)同じ物が多く手に入れられないの?」
といったご質問の場合などは、織物によってはその地域の織り環境なども含めての一からスタートの長大なお話しとなる事も(^^;。

例えば、上記(1)で“量産”という言葉を使わせて頂きましたが、当店で取り扱いの織物の中で一番量産されている部類であろうジャワ島ジュパラのイカットを例にするとして・・・。
では、このジャワ島イカットが「量産されている」と聞くと、どういった風景を思い浮かべるでしょうか?

実際は、通常の手織り布と同様に人が織り機の前に座って、筬を打ち込んで織物をつくっている訳ですが、
「量産だし、オートメーション化された工場で人手なしに機械でウィ~ンとつくっているんじゃないの?」
と思われる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんね。

・・・が、実際はジャワ島イカットだって上記の様にれっきとした手織り布。
時折間違って「機械織り」と紹介されることもありますが、これは多く出回っていることの悲しき弊害(誤解)なのかもしれませんね(+_+)。

以前も当ブログで書かせて頂きましたが、ご近所大和の月一骨董市にふらりと行ったところ、このジャワ島のイカットを手に取ったお客さんに、その店主が、
「あ~、これ(ジャワ島イカット)、手織りじゃないよ。機械織りだよ。手織りだったらこっち(スンバ・イカット)!」
なんて、ジャワ島イカットにしたら可哀想な言われようなシーンを見かけてしまいましたから(+_+)。
思わず、横で聞いていて、
「可哀想なジャワ・イカット~(T_T)」
と、心で泣いていました・・・。

さて、では、こうしたジャワ島イカットの様に多く出回っている織物だったら、寸分たがわず同じ色柄の物を数十枚手に入れることが可能か・・・というと、多分、ある程度大量オーダーをかけられる企業さんなどならば、工房や大元の販売店が明確な場合は商談したら受注生産して頂けるのでは・・・と思います。
(ただ、「織りむらや色むらや糸飛びなどがあっては絶対ダメ!」といった厳しい基準では難しいとは思いますが(^^;。)

では、時折、イカットの枕詞に使われる
「唯一無二の一枚」
という言葉はどうでしょうか?

おっと、本題に入る前に、既に長文ですね(^^;。
書いている私も文章が混沌として頭がウニになってきてしまいました(@_@)が、文章はまだまだ続きます・・・。

スンバ・イカットなどは
「二つと同じ物がない」
などと称されたりしますが、実はこれは現代においては若干誇張された表現と言えるかと思います。

いにしえのように、綿を自分で栽培して紡いでイカットづくりをしていた時代には、(その収穫される綿の量ということもありますし)実際にそうして一枚ずつつくられたり、近年でも村の首長のためのイカットなどでは一枚ずつの制作もされてきたようですが、昨今、バリ島の繁華街のお店などで比較的安価に販売されているスンバ・イカットなどは、少しずつ状況が変わってきております。

例えば染織工程をザックリ簡単に書かせて頂くと、

糸を括る

染める

織る

となります。

「織り」は流石に一枚ずつされますが、この「糸を括る」と「染める」段階は、近年では複数枚のイカット分の糸を一挙に作業されるようになりました。

では、その“複数枚”とは何枚か?・・・と言うと、つくり手さんの拘りによっても変わってきますが、品質に拘ったつくり手さんで2~3枚といった感じでしょうか。

対して、例えば、現在バリ島などのお店などでよく見かけられる部類の通常グレードのスンバ・イカットですと、多い時には一度に10枚分程の糸を括り、染められるようになったとか。
ですので、イカットによっては同柄の物が一挙に10枚出来上がり!ということも。

そういえば、スンバ島のホテルで休んでいると、いつの間にか、
「観光客が来たぞ!それ商売だ!」
と、ホテル外に即席青空市が出来たりするのですが、この時並んでいたイカット↓も2枚ずつ同じ柄ですね(^^;。

スンバ島イカット1

こんな感じに、「二つと同じ物がない」の枕詞は、場合によっては覆されてしまう昨今だったりします(^^;。

こうした大量枚数分の糸を一気に括ってつくられたイカットは、絣足も少々ぼやけてしまったりしますが、中には面白い文様の織り込まれた物が見つかることがありますし、気軽に購入できる価格帯であったりするので天然染料の手織り物を気軽に普段使いという事で、それもまた楽しかったりします(^-^)。

因みに、こちらが10枚とまではいきませんが、大量枚数分が括られた綿糸↓

スンバ島イカットの括り1

う~ん、絣足がぼやけそうな気配がムンムンですね~(^^;。

対して、こちらは昨今珍しくなった少数分が括られた綿糸↓

スンバ島イカットの括り2

こちらのお宅では拘りを持って最大でも3枚分までしか括らないそうで、括りを解いた感じからも絣足の明確さが汲み取れます。

スンバ島イカットの括り3

・・・と、ツラツラ書かせて頂きましたが、このように一気に10枚程と多めの括りが行われるようになったのは、海外からの観光客が大挙押し寄せるようになった頃からだとか。

大挙といっても、そこはスンバ島なので、バリ島などの観光客規模と比較すると非常に微々たるものなのですが(^^;、何とも、一観光客でもある私としても複雑な気持ちが過ぎります。

因みに、それを機に、観光客に人気ということもあり、具象的な文様がイカットにより一層多く織り込まれるようになったそうなのですが、実は島の人々が好きなのは幾何学模様が繰り返されたイカットなのだそう。
やはり、昔パトラを崇めていた伝統の名残りなのでしょうか。

スンバ島イカット2

という訳で、なかなか文章で表すと長文かつ難しくなってしまうのですが(^^;、オートメーション化された環境で綺麗に整ってつくられた布よりも、こうした手織り物が愛おしかったりするんですよね(*´ω`)。

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