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アジアの織物 PANDAN TREE blog

~アジアのことから身近なことまで、きままブログ~
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トゥガナン村とグリンシン

近頃は雨も遠のいているようで乾燥続きですが、いかがお過ごしでしょうか?
皆さん、風邪なんか引いていませんか?

さて、今回は、このブログでも検索が多いグリンシンについてのお話しを。

これまでもグリンシンまたは、グリンシンがつくられているトゥガナン村についてのお話しを何度がさせて頂いておりますが、当店PANDAN TREEのグリンシンの品揃えが完売してしまったため、
「次はいつ入荷しますか?」
といったお問い合わせを最近チラホラと頂くようになりました。

そこで、リゾートとして人気のバリ島に観光に行く方は多いかと思いますので、トゥガナン村を訪れてグリンシンをご購入するといった観点からのお話しを。

販売者側の私が、トゥガナン村でのグリンシンの購入についての記事を書くのは掟破りなのかな?・・・とも思いましたが、基本的には、その織物がつくられている土地で、直に気候風土を感じながら、お気に入りの一品を手に入れることが染織の楽しみの一つ・・・と常日頃考えておりますので、あえてご紹介したいと思います。

トゥガナン村を訪れて村の空気を吸いながら自分にとっての無二の一枚を選ぶことは、きっと素敵な想い出になるかと思います。

基本的には、一目惚れしたグリンシンがあった場合には、そのグリンシンと何かしらの縁があったのだと思って決めて頂いても浪漫があって宜しいかと思いますし、染織に詳しい方も多いかと思いますので、
「初めてのグリンシン選びでどれを選んだら良いか迷うな・・・、困ったな・・・。」
といった場合にでも参考にして頂ければと思います(*^-^*)。

まず最初に、本場トゥガナン村に行けばグリンシンが選び放題か・・・というと、訪れるタイミングによっては在庫が少ない場合もあり選択肢が少なかったり、逆に選び放題だったりと、運の部分があるように思います。

例えば・・・、ある時はたくさん在庫があったのに、
トゥガナン村4

次に訪れた際には、数枚だけのことも。
トゥガナン村5

現在のように、染織工房などで人々が専業で携わってつくられている環境の織物でしたら、(もちろん多少の季節に合わせた工程の進み方もあるでしょうが、)一年を通じてコンスタントに織物を手に入れることが出来るかと思います。

しかし元来、例えば、私の大好きなスンバ島イカットを含めた伝統的な手織物の多くは、いにしえから女性達の生活サイクルによって染織作業が行われてきました。

農繁期は農耕を、農閑期に織りを行うといった一年のサイクルでつくられるので、大体農繁期が終わって少々経った辺りが織物がつくり終えられる時期といった感じです。
現在でも、昔ながらの染織が行われているエリア(こうしたエリアも稀になってしまいましたが)では、この一年サイクルを目安に織物がつくられています。

対して、グリンシンをつくるにあたっては、吉日を選んで染織作業が行われるために仕上がりまでの期間が数年に及ぶこともあるそうです。
ですので、トゥガナン村の吉日にあわせて作業が進められるグリンシンがいつ頃出来上がるか・・・と見当を付けるのは、日本に暮らす私たちにとっては正直なところ難しいかと思います。

また、残念ではありますが、タイミング悪く大量に購入された後に訪れることも有るかと思います。

そういう訳で、バリ島を訪れた時が購入時(どき)、そして気に入ったグリンシンと出合えたら縁なのだと身を任せてみるのも宜しいかと思います。

トゥガナンにはグリンシンのつくられているお宅兼ショップは10軒程あると言われておりますが、それぞれに差が有り、持っているグリンシンの在庫がいつ訪れても2~3枚と少数の所もあれば、比較的多めにある所もあります。
また、正直なところ、グリンシンの織りの腕前に差が有るのも事実ですし、同じお店の中にあるグリンシンでも本当に質はピンキリ。

ですので、『お気に入りの一枚を手に入れたい』といった際には、1~2軒訪れて止めずに、根気良く回って色々見せてもらうのが宜しいかと思います。

当店の場合、一度トゥガナンを訪れるとある程度の枚数を選ぶこともあって、どうしても時間が必要なのですが、その間、様々な国からの観光客の方々が行き来していきます。

欧米などの方々は村の風情や家屋を眺めるといった感じの方が多い様子でグリンシン購入の方は少ないような感じですが、日本からの観光客の方にはグリンシンやアタなどの買い物が目的の方も多いようですね。
そのため、
「こんにちは♪お買い物ですか?」
といった日本語を交わす機会も間々ありますが、何となくササッと見て&ササッと帰っている方が多いような気がします。
多分、東部の様々な場所を訪れる一環や、オプショナル・ツアーの一環としての訪問で、あまり時間を取ってらっしゃらないのかもしれませんね。

でも、本気でグリンシンを選びたい場合には、たっぷりと時間がかかるもの。
ですので、ツアー等の一環での訪問ではなく、車やタクシーなどの一日チャーターでの訪問をお勧めします。
東部には、昨今人気のシドメンやイセーなどの風光明媚なポイントがありますので、そうした所をドライブしがてらや、東部の街に泊まりながらトゥガナンを訪れるというのも楽しいですよ♪
(因みに、この辺りはバリ島名物サラックの名産地で、サラック林を抜ける道などもありますので、サラックの本場で是非ご賞味下さいね。道端のワルンなどでも売っています)。

次に、お値段についてですが(この現地でのお値段についての検索が非常に多いですが(;^_^A)、これは本当にピンキリで、一言では言えないもの。
例えば、同じサイズのグリンシンでも、質によってお値段は数倍の違いが有ります。

また正直な所、私のような仕入れとして纏めて購入する場合とでは、村の売り手さんのおっしゃる価格も異なるのですが、トゥガナンでは定価のないお買い物となりますので、価格交渉が必要となります。

日々、定価での買い物に慣れている日本人としては、定価のない買い物は未知の世界。
価格交渉も不慣れなもの。
でも、ちょっと腰を落ち着けてのんびりと交渉を楽しんでみて下さいね。
ゆっくりと腰を据えてお店の方からグリンシンのお話しを伺いながらのんびりしていると、不思議と適正価格に落ち着いていたりします。
加えて、色々お話を聞きながらマッタリしていると、奥から別のグリンシンを出してきてくれることもあります。
ですので、そういった点からも、どうぞゆっくりと訪れてみて下さい。

そういえば、ある時、ササッと価格交渉なしのファーストプライスで即決で購入していった観光客の方も見かけましたが、これは価格だけでなく、色々な意味でもったいないことだと思います。
何せ、グリンシンをつくっている方と触れられる折角の機会ですからね。

もしも、
「初めてのグリンシン選びでどれを選んだら良いか迷うな~、困ったな~・・・」
といった方は、

茜染めの発色の良し悪し、
織りの詰まり(とは言ってもグリンシンの場合は、ある程度の薄手感は良品にも感じられ、逆にピッチリと目の詰まったグリンシンの方が少ないので、程々の感じで見ても大丈夫かと思います)、
経と緯の絣文様の合わせが上手いかどうか、

・・・といった点をチェックすると、比較的選びやすいかと思います。

あとは、グリンシンには14~24種程の文様があったとされます。
現在は廃れてしまった文様も何種かあるそうですが、現存する中でお気に入りの物をあらかじめ日本などでチェックしてから、トゥガナンに向かっても宜しいかと思います。
因みに、一般的に人気の高いのが、ルーベン柄(村を表す文様と言われるさそりが織り込まれたもの)なのではと思います。

もしくは、最初の一枚と割り切って、お手頃の価格の物を購入してみて、
『また縁があったらトゥガナンを訪れることがあるでしょう』
と考えてみるのも浪漫があるのでは・・・とも思います。

商売上手な村民がいたり、高名なグリンシンを求めるために世界中から観光客が村を訪れているという背景から、お店(お宅)によってはファーストプライスでかなりの高額をおっしゃる方もいますので、どれが良いのか悩みながら&納得できないままに無理に高額のままで購入するのは、正直お勧めできません。
かといって、強引に値切り交渉を続けるのも非礼ですので、その布とは縁がなかったと割り切る気持ちも必要かと思います。

あとは、トゥガナンに行く前に、デンパサールにあるバリ博物館で、実際にグリンシンを見てみたり、
バリ博物館

バリ島のテキスタイル・ショップで時折持っていることもありますので、ちょっと独特な生地感のあるグリンシンに、あらかじめ触れてみるのも宜しいかと思います。

最後に・・・
トゥガナン村では、実に様々なインドネシア地域の織物が集められて販売されております。
トゥガナン村8

織物好きな方はこうした他島の織物とは間違えないと思いますが、あまり織物に馴染みのない方でしたら、グリンシン風の文様が織り込まれたバリ島の他地域製のイカットなどもございますので、お気を付け下さい。

また、本来ダブルイカット(経緯絣)であるグリンシンの中にはシングルイカットの様式で織られたものもあり、その経糸は手紡ぎ綿ではなく機械紡績糸のことも多いので、その点をちょっと気を付けて頂ければと思います。

あとは、トゥガナンに限ったことではありませんが、東南アジアのお店やお宅では室内が薄暗い所も多いので、検品などにも気を付けて下さい。

と、長々とグリンシンについてツラツラ書かせて頂きましたが、最後の最後に大ドンデン返しの発言になってしまい、非常に申し訳ないのですが、私は基本的にグリンシンはトゥガナンの村人達のための織物と考えている部分もあります。
村にあるからこその『聖なる織物』なのでは・・・と。

昨今は人気もあって、村でもグリンシンを商品と捉えている節を感じたりもしますが、それでも村人のための織物という気持ちが私の中には今もあり、グリンシンの買い付けの際はこうした躊躇する気持ちを持ちながら・・・だったりもします。

他地域に織物を探しに行った際にも時折感じることなのですが、
「この織物は、この場所にあるべきなんだろうな・・・」
という一枚があったりします。

そうした織物は、あえて買い付けせずに地元に残してくることも実際あります。
織物は『モノ』ではあるのですが、『モノ』とは割り切れない性分なんですよね。

例えば、家の若い主が、
「この織物は家に伝わる物なんだけれど、買ってくれないか?」
と私に伝えている横で、ずっと大切にしてきた当人であろうお婆ちゃんやお爺ちゃんが寂しそうな顔をしている時など。

多分、私が買わなくても次に訪れる人が買うだろうとは分かっているのですが、そうしたお婆ちゃんお爺ちゃんの顔を見ると、
「きっと、想い出が詰まった織物なんだろうな・・・」
と買い付けを控える事も。

逆に、
「家を改築しているのだけれども、お金が足りなくて壁が中途半端にしか出来ていないんだ。どうか買ってくれないか?」
とお願いされる事も。
もちろん、そうした織物は、出来れば家人も手放したくない貴重な織物な訳で、本来余裕があれば売りたくはない物。
私も色々と躊躇したりもするのですが、
『その一家の生活のためになるならば・・・』
と思い、買い付けることもあります。

そんな訳で、織物は物ではありますが、それぞれの一家の様々な物語が含まれている場合があります。

トゥガナン村7

閑話休題。

ということで、トゥガナンはグリンシンを買わなくても、バリアガの村の風情を拝見する面でも訪れる価値がある村だと思います。

バリ島旅行の際には、島東部にも是非一日割いてみて下さいね。

トゥガナン村3

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