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アジアの織物 PANDAN TREE blog

アジアのことから身近なことまで、きままブログ
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織物の中のモチーフ【パトラ文様】

寒さ厳しい日が続いておりますが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

さて、今回は久し振りに「織物の中のモチーフ」シリーズを。
今回ご紹介させて頂くのは、“パトラ文様(パトラ写し)”。

この“パトラ文様(パトラ写し)”。
現在の東南アジアの染織に、大きな影響を与えてきた文様の一つと言えるかと思います。

「パトラ(patola)」自体は、インドのグジャラート州パタンで織られる絹の経緯絣の事で、昔はグジャラート州各地で織られていたそうですが、現在では数軒のお宅でつくられるのみとなっております。

この「パトラ」は、17世紀頃からオランダ東インド会社の輸出品として東南アジアにもたらされ、王侯・貴族のステイタス・シンボルとされました。

その後、「パトラ」に代表的にあしらわれる華美な花文様は人々にとっての憧れとなり、徐々に各地域の織物にもそうした文様を模した織物が、絹素材・綿素材を問わずにつくられるようになったそうです。

始めの頃は、こうしたパトラ風文様があしらわれた織物も、王侯・貴族にのみ着用が許された禁制文様であったそうですが、次第に広く庶民の間でも使用されるようになっていきました。

前出のように、「パトラ」はオランダ東インド会社の輸出品としてインドからもたらされたこともあってか、その拠点のあったインドネシアにパトラ文様の織物が多く見られますが、

パトラ文様1

パトラ文様2

パトラ文様3

カンボジアのサンポットホールや、タイのマットミーなどにも、「パトラ」の影響が見られます。

パトラ文様4

このように、「パトラ」は現在の東南アジアの染織に大きな影響を与えてきましたが、華麗な花文様のみならず、ハート文様や象の文様があしらわれた“パトラ写し”もあります。

こうした世界の繋がりが垣間見れるのも、また面白いものですね。

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織物の中のモチーフ【牛】

早いもので、もう師走。
年末年始はクリスマス・大晦日・お正月と、何かと忙しくなってきますが、どうぞお体に気を付けてお過ごし下さいませ。

さて、今回は久し振りに「織物の中のモチーフ」シリーズを。
今回のお題は「牛」。

「牛」と言えば、以前、牛の角を基にした「鉤文」のモチーフをご紹介させて頂いた事があります。
因みに、この「鉤文」と牛との関わりを改めておさらいさせて頂くと、

スラウェシ島トラジャ族によってつくられる茜染めのイカットの中には、セコマンディ(Sekomandi)と呼ばれる幾何学文様があしらわれる事が多いのですが、このセコマンディは‘大きな鉤’といった意味合いを持つそうです。
そこから、こうした鉤文があしらわれたトラジャ族の茜染めイカットはセコマンディと呼ばれたりしますが、この文様には水牛に因む意味合いが含まれているのだとか。

セコマンディ

トラジャ族は水牛を聖なる象徴と捉えており、その水牛の角なども幾何学的に表して、優れた子孫の誕生を祈念したり、祖先崇拝といった意味合いを込めたそうです。

そして、ティモール島の織物にも類似した水牛の角を基にしたカイ(Kai)やカイニー(Kainee)、カイフ(Kaif)と呼ばれる「鉤文」があしらわれる事が多く、その角は生命を表すとも言われているそうです。

カイ

また両地共に、水牛は祭儀の際の供犠として重要でもあります。

・・・と、幾何学的に牛の角を表した文様に関しては以前ご紹介させて頂いておりますが、今回は、牛そのものをあしらった文様について。

ここで登場するのが、私の大好きなスンバ島イカット。
スンバ島でも、牛と言えば‘水牛’がメインとなりますが、その水牛は、

ラジャ(王)の血統のシンボル
富の象徴(儀式の際に生贄にされたことから)
ラジャの葬式の際の供え物

という事で、『ラジャ(王)』や『富』を表す文様とされます。

その様な訳で、イカットの中にもラジャと共にあしらわれる事も多く、

王の証として牛と共に織り込まれたり、
スンバ島イカットの牛

王様の生活風景や葬儀の様子などを織り込んだ「ラジャストーリー」と呼ばれるイカットの、王様の家の飾りにも登場したりします。

スンバ島イカットの牛飾り

因みに、この水牛の頭蓋骨の飾りは、権力や富の象徴だそうで、全ての家に飾られている訳ではなく、村の権力者の家などに飾られています。

戸口の装飾

因みに、王族のお墓のドルメンにも、牛が彫り込まれております。

スンバ島ドルメン

このように、スンバ島の織物の中では、牛は王族にまつわる文様として登場する事が多くあります。

・・・と、王族と水牛の係わりを述べさせて頂きましたが、もちろん、王族以外の庶民の間でも、いにしえから農耕の際には重要な労働力として人間を助けてくれる、ありがたい存在でもあります。

そんなスンバ島随一の町ワインガプの中心地で、のんびり草を食む子牛。
イカットの名産地は、こんな喉か~な島だったりします(^-^)。

スンバ島の牛

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【織物の中のモチーフ】アナ・マハン

梅雨も明け、暑さ厳しい夏日続きですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
そうぞ、体調管理には充分お気を付け下さいませ。

さて、今回は久し振りに「織物の中のモチーフ」シリーズを。

これまでも織物の中に躍る様々なモチーフ(文様)をご紹介させて頂いてきましたが、今回は首架文と共に、スンバ島特有かと思われるモチーフを一つご紹介したいと思います。

スンバ島イカットやパヒクンの中には、様々な文様が一面に織り込まれており、そのバリエーションと織り手の方々のイマジネーションの豊かさが私も大好きなのですが、そんなイマジネーションを活かした文様が「アナ・マハン(Ana Mahang)」。
日本語で表すとしたら、『空想上の生き物』といった感じの意味合いでしょうか。

半人半獣として織り込まれる事が多く、例えば、

頭部が人で、体が力強い権力者や王、強靭さの象徴とされる鰐。
アナ・マハン2

頭部が富の象徴としての牛、体が人。
アナ・マハン1

頭部が人で、体がオランダ統治時代の名残りである獅子(ライオン)。
アナ・マハン3

こちらは全体的に人と鳥の半人半獣に、腕の部分からも鳥、足の部分からは猿が派生した凝った造作の文様。
アナ・マハン4

といった感じで、本当に織り手さんのイマジネーションが、このアナ・マハンには活かされております。

一説には、いにしえから島に伝わるアニミズムのマラプ信仰に基づく文様の一つで、人間と尊ばれてきた動物とを組み合わせて崇めているそうです。

もしも幾枚かスンバ島の織物をお持ちでしたら、ふと広げて眺めてみると、このアナ・マハンが織り込まれているかもしれません。

こうした脈々と受け継がれてきた伝統が、一枚の織物にギュッと表されている芸術性が、スンバ島の織物の魅力ですね(^-^)。

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織物の中のモチーフ【アクセサリー文】

ここ数日、突然の豪雨に見舞われることの多いここ神奈川ですが、皆さんの地域はいかがでしょうか?
台風も2個同時に発生したようですし、夏休みということで水辺にお出掛けという機会も多いかと思いますので、どうぞお気を付け下さいませ。

さて、今日は久し振りに「織物の中のモチーフ」シリーズを。

現在、オリジナルアクセサリーUPの準備という事もあり、頭の中はアクセサリー一色(^^;。
という事で、今回のお題は「アクセサリー文」に致しますね。

世の中には様々なアクセサリーが有りますが、私の大好きなスンバ島イカットの中に登場するアクセサリーは、ヌサトゥンガラ・エリア特有の物が殆どであったりします。

代表的なものとしては、以前、こちらの記事でもご紹介した「マムリ」。

スンバ島マムリ

大きさや素材は色々で、中には人物・動物などがデザインされている物もあって、それぞれに味わいがあります。
スンバ島では今も女性のシンボル&お守り、厄病除けとしてマムリは崇められており、現在でも結納品として贈られています。

マムリにはシャーマンなどによる儀式を経ることによって祖霊マラプの魂が宿り、超自然的な力をともなうと考えられており、使用していない時には、家の中で聖なる場所とされるトンガリ屋根の部分に保管されているそうです。

イカットの中ではメインのモチーフとしてあしらわれたり、

スンバ島イカットの中のマムリ1

サイドに連なるようにあしらわれたり、

スンバ島イカットの中のマムリ2

と、様々です。

マムリと同様に女性のシンボル&お守りとしては、マランガと呼ばれるアクセサリーもあり、

スンバ島マランガ

同じく、時折イカットの中にあしらわれることが有りますが、

スンバ島イカットの中のマランガ

このマムリとマランガのデザインに共通の事柄は、女性の子宮を象っているという事。
それ故に、女性のお守りとして島では崇められています。

町の中にある碑や、

スンバ島の街の中のマムリ

伝統村の石碑にも登場する程、

スンバ島石碑の中のマムリ

島民にとっては特別な存在と言えるかと思います。

その他のアクセサリーとしては、耳飾りなどもイカットの中に登場しますが、

スンバ島イカットの中の耳飾り

上のイカットは、耳飾りと共に女性の守り神とも伝えられる蛇の這い跡がサイドに幾何学的に織りこまれており、まさに女性のためのイカットと言っても良いかもしれません。

こうした耳飾りは、通常の私達の感覚の耳飾りよりは、重量&大きさ共にボリューム感がある物が多く、実際に耳飾りとして日本の巷で使用するには二の足を踏むかも・・・しれません(^^;。
マムリやマランガも小振りの物は耳飾りとされる事もあるようですが、実質的には中央の穴に紐やチェーンを通してペンダントとして使用したり、インテリアとして飾ってみたりといった方が私達には良いかもしれませんね。

女性の方のお守りとして、こうしたアクセサリー文の織り込まれているイカットを飾るのもオツですね(*^^*)。

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織物の中のモチーフ【子宝祈願】

梅雨真っ只中の今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
そろそろ、久し振りに青空&太陽を望みたいところですね。

さて先日、友達に子宝祈願という事で、天然石のブレスレットを作ってプレゼントしたのですが、
「あっ、そう言えば子宝祈願の文様が織り込まれた織物も一緒に贈れば良かったなぁ~。」
などと、後で思い出した次第。

そんな訳で、今日は「子宝祈願」の文様についてのお話しを。

一言に「子宝祈願」の文様と言いましても、様々な地域にそれぞれ子宝の願いが託された文様がありますが、今回はラオス周辺での子宝祈願文様をご紹介したいと思います。

ラオスには、かつて300種類程の織り文様があったとされますが、現在受け継がれている織り文様の中にも、多くの子宝に恵まれるようにとの願いが込められた文様があります。

例えば、こちらのシホー(半象半獅子)の文様もその一つ。

子宝祈願文様2

とは言いましても、シホーそのものが子宝祈願の文様という訳ではなく(シホー自体は悪魔大王を退治した伝説の人物シンサイを助けた神話上の動物)、このシホーなどの聖なる動物のお腹の中に、さらに小さい動物や人物などを織りこんだ文様が、子宝祈願の文様とされます。

上の織物はシホーのお腹の中にシホーが織り込まれていますが、モムやホンなどの神話上の鳥や、

子宝祈願文様1

ナークと呼ばれる蛇が織り込まれる事もあります(下の画像のナークは双頭の蛇として織り込まれています)。

子宝祈願文様3

ナーク自体も多産の意味合いが込められているので、ダブル祈願といった感じでしょうか。

その他、前回の「織物の中のモチーフ」でご紹介したタントラにも、多産の願いが込められています。

こうした織物が含む文様の意味合いを踏まえながら贈り物に・・・というのも、物と共に心も贈っているようで素敵ですね(^^)。

さて、様々な文様をこれまでご紹介してきましたが、時折、モチーフの実態を伺っても「???」な事があったりします・・・。

モチーフの意味合いが「???」なのではなく、実態が「???」・・・なんです(-_-;)。

最近の例で言うと・・・、

これ↓、何に見えますか?

ロケット文様

持ち主さん曰く、「ロケット」だそう。

パッと見た瞬間、ロケットに見えたものの、「いやいや仏塔とかでしょう~」と考えを改め伺ったものの、
「ロケットよ」
との事。

タイやラオスでは雨乞いの儀式のような意味合いでミサイル的な手作りロケットが打ち上げられるロケット祭りが行われ、それに因んでロケットが織物にも時折あしらわれますが、こちらのロケットには人間も搭乗の様子(-_-;)。

飛行機やヘリが織り込まれた織物の存在は知っていましたが・・・、人の乗ったロケットは初でした・・・(-_-;)。

機を見てPANDAN TREEに商品として掲載する予定ですが・・・どう説明しましょう・・・(-_-;)。

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