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アジアの織物 PANDAN TREE blog

アジアのことから身近なことまで、きままブログ
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スラウェシ島トラジャの茜染め&泥染めイカット

乾燥しがちな冬の合間の雪模様となった神奈川ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
日頃、暑い気候が大好きな人間ですが、久し振りに白く舞う雪を眺めるのも良いものですね。

さて先日、スラウェシ島トラジャの絣布をUPさせて頂きました。
スラウェシ島トラジャの茜染め&泥染めイカット1

このトラジャ・イカット。
実は、昨今では合成染料を使用してつくられる事が多くなりつつあることもあり、個人的には、
『トラジャなら天然染料で!』
の思いが強かった事も重なって、ここ10年程は仕入れを控えておりました。
・・・が、今回、天然染料による物が幾枚か仕入れできましたので、久し振りの登場となりました。

これまでは、茜染めを主体に鉤文様が浮かぶセコマンディやポリ・シトゥトゥなどと呼ばれるトラジャ・イカットをご紹介してきましたが、今回初登場なのがマリロトンと呼ばれる泥染めのお品。
スラウェシ島トラジャの茜染め&泥染めイカット2

トラジャ族の中では白と黒は天国と地球を表すと伝えられているそうで、こうした彩りの織物は地域の長が洞窟で瞑想をする際などに使われたそうです。

織物にあしらわれた文様や彩りに、秘められた言い伝えや伝統、そして人々の思いや願いが反映されている側面などが私が織物に魅かれる一因でもあるのですが、長年織物を取り扱ってきた身でも、まだまだ布の持つ奥深さに魅了されております(^-^)。

さて泥染めと言えば、日本の大島紬、マリのボゴランなどがありますが、今回のトラジャのマリロトンのように東南アジアの地域にも泥染めが行われている地域が点在しております。
私が初めて泥染めの織物に出会ったのが、東ティモールのボボナロでつくられたタイス。
東ティモール・ボボナロの泥染めイカット1

年代的には、まだ東ティモールとして正式に独立する前の2000年頃に出会った一枚(つくられたのは1960年代頃)ということで、インドネシア製と言えば良いのか・・・、東ティモール製と言えば良いのか・・・と、歴史の過渡期を経た織物。

この、現在インドネシアとの国境に近い地域となった場所でつくられる泥染めの織物は、落ち着いた風合いの中に力強さが感じられるような、非常に心惹かれる風合いを持っております。
東ティモール・ボボナロの泥染めイカット2

ティモール島の他にも泥染めが行われている場所は見られ、例えば鮮やかな彩りの中に具象的な文様が浮かぶ織物の多いスンバ島でも、普段、女性達が纏っているサロンなどには、濃い藍~黒無地といったシンプルな彩りの物もあります。
スンバ島の女性

黒を生み出す方法に関しては地域によって様々で、
『藍染めを何度も何度も繰り返し濃い色にして黒と見なす』
などの他、
『藍染め&その他の植物(・・・例えば日本人の私達にも馴染みのある植物と言うとモクマオウやネムノキ科の木など)&鉄分豊富な泥による泥染めの併用で黒を生み出す』
など、一言に黒といっても様々な素材や観点から生み出されているようです。

色と言えば、昔お店を始める前に、鮮やかな緑色(いわゆる草色ではなくブリリアントグリーン系)は天然染料では表現できないと伺った事があるのと同様に、
「黒の彩りを表現するためには何を使用しているんだろう?」
と疑問に思っていた事もありましたが、このようにそれぞれの土地に密着した素材で、黒はもちろん様々な色を生み出してきたんですね。
因みに、ボボナロの泥染めには水牛の糞を染め材料の一つとして使用する事もあるそうです。

改めて、いにしえから伝わるつくり手の女性達の技と工夫に感服です。

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復活を遂げた手織り布

空梅雨が続く今日この頃ですが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

さて今回は、先日PANDAN TREEに新登場させて頂いた手織り布ランラン(Rangrang)についてのお話しを。

ヌサペニダ島ランラン1

実はこのランラン♪・・・と、可愛い響きもする名前を持つ手織り布、私的に思い入れのある織物であったりします。

以前本ブログで、とある織物を探しにタバナンを訪れた際、ついでにタバナン焼きの工房を探し回って迷子になったお話しを こちらの記事 でさせて頂きましたが、この探していた織物こそが、今回PANDAN TREEでご紹介させて頂いた流水模様のランラン。

時は2006年ですので、もう10年以上も前になりますが、当時はランランと言う名も知らず、とある40年程前に出版された本で見かけたカンベン・ティルタナディ(聖なる水の布や聖なる水の流れ模様の布といった感じの意味合い)と紹介されていた織物に一目惚れをし、その後、産地タバナンと紹介された別の情報を手掛かりにタバナンを訪れた訳です・・・が、実は本拠地はバリ島西部ではなくバリ島東部沖合いのヌサペニダだったようです(^^;。

実は、このランランは廃れかけていた織物で、島のごく数人のお婆さんが織り方を知っているだけとなってしまっていたそうです。
そんな中、織りの持つ独特の魅力から島外の人の目に留まり、自治体などの支援が始まって十数年前から復興が始まったそうです。
という訳で、私がランランを探してタバナンを訪れて迷子になっていた10年程前頃は、残念ながらまだ復興の波が大きくはなっていなかったようですね(´・ω・`)。

その後、インドネシア人デザイナーのショーにも登場したりと徐々に注目を浴びるようになり、現在ではバリ島の織物屋さんでも目に触れる機会が多くなる程に復活しました。

ですので、こうして近年急に見かけるようになった経緯と鮮やかな色合いなども相まってか、最近つくられ始めた新しい創作織物と間違われる事もあるようですが、実は長い歴史を持った織物であったりします。

そう言えば、イカットなど様々な織物がつくられているバリ島ですが、一時期はマシンメイドのプリント・バティック製サロン(腰巻)を身に纏った女性達が増えて、島の名産である織物を使ったサロンを纏った人々を殆ど見かけなくなり寂しく思っていたものですが、最近はこの手織り布ランラン製のサロンを纏った女性達もチラホラと見かけるようになり、嬉しい限りです(^-^)。

さてこのランラン、主な産地は前出のようにバリ島の沖合いに浮かぶヌサペニダですが、バリ島東部のスラヤ(Seraya)の一つの工房でも手紡ぎ綿&天然染料による物がつくられておりますので、バリ島東部にお出での際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか(^-^)。

流水模様の中に見えるハツリ(空孔)が特徴的かつ魅力のランランですが、

ヌサペニダ島ランラン2

このランランという名もこのハツリ(空孔)からきているそうで、“穴の開いた”といった意味合いを持つそうです。
因みに、今回は長年の憧れであった尖鋭な流水模様の品を選んできましたが、他にも丸みを帯びた曲線模様、格子模様、X模様の物などもつくられておりますので、お好みの模様のランランをお選びになっても楽しいかと思います。

南国の島でつくられる織物らしく、風にそよぐ風情やハツリ(空孔)の隙間から覗く陽の光も素敵な、爽やかさを含んだランラン。

時代を経た古布やアンティーク織物なども素敵ですが、伝統を受け継いだ形で復活を遂げて現代に生きる織物に、味わいと織物づくりに携わる人々の熱意を感じます。
今後もこうした織物を、ずっと応援していきたいと改めてしみじみ思った次第です。

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茜染めの原料を食べてみた

梅雨を前に、青空が遠のいている今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、当ブログでは時折、織物の染料にまつわるお話しをさせて頂いておりますが、今回はムンクドゥ(ヤエヤマアオキ)の再登場です。

以前、こちらの記事こちらの記事でも紹介させて頂いておりますが、このノニという名称でも知られているムンクドゥは、インドネシアの茜染めの主原料でもあり、根や樹皮が染料として使用されます。

で、今回はここから PANDAN TREE 風にちょっと横道に逸れてしまうのですが(^^;、今回の渡インドネシアの際に、このムンクドゥの実を生でかじってみました。

ムンクドゥの実

「ノニ茶もある事だし、ジュースもあるんだから食べられるでしょう。」
「実の感じもシャカトウに似ているし。」

ムンクドゥの実

といった安易な気持ちだったのですが、地元の人達からは、
「健康には良いけど、やめた方が良いよ~(;^ω^)」
と。

ま、でも折角目の前にある事だし・・・という事で、

早速、ガブッ( ̄~; ̄)・・・。

・・・・・(°_°)!

苦~~~い!!!
渋~~~い!!!
不味~~~い!!!

教訓・・・・・・、地元の人の忠告は、素直に聞きましょう(^^;。

そう言えばノニジュースって、昔テレビ番組でよく罰ゲームに使われていましたね(´・ω・`)。

加えて思い出したのが、出来たての茜染め主体のイカットの匂いが、こんな感じだったという事。
では、どういう匂いかと言うと、例えるなら・・・粘土の匂いに似てるかな?
(実がもっと熟してくると、益々強烈な匂いになるそう。)

でも、この決して香しいとは言えない茜染めの匂いが、私に元気をくれる不思議な匂いだったりします(^-^)。

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一枚のイカットができるまで

だいぶ暖かくなってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
こちら神奈川も桜が散り始めましたが、これから夏に向けて一気に暑くなってくるのでしょうか(^^;。

さて、これまでPANDAN TREEのコラムや織物情報サイト内などで、イカットの制作工程をご紹介させて頂いておりますが、今回はイカットが出来るまでの、おおよそ・・・、だけれども(^^;、具体的な期間についてのお話しを。

私自身、スンバ島イカットが大好きなためか、その紹介にはどうしても浮足経ってしまうことが多かったりします(*^^*)。
こういった店主といったこともあってか、日頃ご愛顧頂いているお客様の中にも、やはりスンバ島イカットの魅力にはまってしまった方も多く、色々とご質問やお問い合わせを頂く事がございます。

その中で、
「一枚のイカットが出来るまで、実際どの位の時間が掛かっているのですか?」
といったご質問を頂く事も。

世界的にスンバ島イカットと言えば、ヒンギーと呼ばれる男性用の腰衣兼肩掛けを思い出される方が多いかと思います。
このヒンギーは、腰から肩へと身体に巻きつけるように使用されるため、大きさは幅1m前後、長さが2m前後と大判の部類になります。

では、この位の大きさのスンバ島イカットが出来るまでの各工程に費やされる時間とは・・・。

モチーフの細かさや、糸の染めのなど、各作り手さんの拘りによって多少の違いは見られますが、一枚のヒンギーが出来上がるまでに、おおよそ一年程の期間が費やされます。

ネットや本などの東南アジアの染織情報で、
「一年という期間をかけてスンバ島のイカットは作られます」
といった記述をご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、これまで島でお話しを伺ってきた感じでは、通常のイカットづくりにおいてはおおよそ正しいのではないかと思います。

まず、スンバ島イカット作りの工程を、ごくザッとご紹介しますと、

(1)糸を括る
(2)糸を染める
(3)織る

といった感じになります。

現在は機械紡績糸での染織が主体となっておりますので、染織に先立つ綿の栽培や採取、綿打ち、そして紡ぎといった工程はありませんが、機械紡績糸の状態や地域によっては、予め洗ったり精錬したり、または使用する染料によっては染色時に染料が浸透し易いように(濃く染まりやすいように)、媒染材に浸したり煮たりすることもあります。

ではまず、
(1)糸を括る

スンバ島イカットづくり1

モチーフ(文様)の展開が肝とも言えるスンバ島イカットの中でもヒンギーのような大判な織物の場合、やはりある程度の期間が掛かり、2ヵ月程費やされます。
ただ、イカット一枚分ずつを括るのではなく、現在では多い場合は4~10枚分、モチーフの表れ(絣足の鮮明さなど)に拘ったつくり手さんだと3枚分程に限定して、纏めて括られます。
昔はつくり手さんが頭の中のイマジネーションを駆使して下絵なしに括りが行われていましたが、昨今は下絵を描いて括られる事が多くなりました。

(2)糸を染める

スンバ島イカットづくり2
スンバ島イカットづくり3
スンバ島イカットづくり4

スンバ島イカットの場合、主に使用されるのは藍、茜、ウコンなどとなりますが、各色、染めては一日掛けて乾かし、また染めては乾かし・・・という作業を、納得のいった濃さになるまで繰り返します。

例えば藍の場合は、淡く染めるには2回、濃く染めるには5回染めを繰り返すそうで、こうした濃淡を活かしたイカットは、非常に手の込んだ物とされます。
因みに、季節によっても綿糸への染料の浸透具合が異なるため、雨季には5回程で濃く染まるのが、乾季は10回程染めないと濃くならないそうで、平均すると藍染めには2ヵ月程掛けているそうです。

このような具合に、各色納得のいく色合いになるまで、繰り返し染めていきます。

因みに、原料となるインド木藍は4ヵ月で育つそうです。

この「染め」の後に、括りを解き、木枠に掛けて整経をしますが、この整経過程も、しっかりしたモチーフのイカットを作り上げるのに重要な工程です。
地道な作業ですが、1日2日で済むという訳でもなく、数日かけてじっくりと模様合わせをしていきます。

(3)織る

スンバ島イカットづくり5

染織風景というと、この織り作業を思い浮かべる方も多いかと思いますが、実は織り作業は他の工程に比べると意外と短く、2週間程となります。
この2週間というお話しをすると、大きさの割に意外に短時間に思われる方も多いようで、逆に括りや整経といったこれまで目に付き難かった工程に興味を持たれ始める事も。

そうなんです。
この括りや整経は地味な作業なので、スポットライトが当たり難いのですが、イカットの出来栄えを左右する非常に肝心な工程なんですよね(^-^)。

尚、雨季は農作業に力を入れるため、染織活動が盛んになるのは、主に乾季となります。
そうした生活サイクルという事もあり、一枚のイカットが出来上がるまでが、約1年となるそうで、括りや染めなどで幾枚分かの制作を進めていく事もあり、一人の女性が一年につくるイカットの数は、およそ10枚前後とされます。

スンバ島イカットづくり6

前出のように、1970~80年代頃から機械紡績糸が広まる前は、綿の栽培~収穫~綿打ち~紡ぎの作業も必要でしたので、当時の苦労も大きかったのでは・・・と思います。

因みに、以前当ブログでも紹介させて頂いたのですが、いにしえの再現という事で、スンバ島産の手紡ぎ綿を集める事からイカットづくりをした島の知人は、綿集めに2年(!)掛かり(^^;、その数年後、もう一枚分を栽培してギブアップしたそうです(^^;。

スンバ島はサバンナ気候という事で、乾燥の厳しい島ではありますが、代々伝えられてきた文化に包まれた非常に魅力溢れる島です。
そんな島で染織を行っている魅力的なつくり手さん達に、是非会いに行ってみて下さい(^-^)。

スンバ島藍染めイカット

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織物の分類(タイかタイ族か・・・)

急激に寒さ厳しくなってきた今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて最近、なかなか商品写真を撮る時間が作れずに、新商品のご紹介が出来ず仕舞いでしたが、昨日、一部の織物の物撮りがようやく出来、近々UPさせて頂こうかと考えております。
(写真あってのオンライン・ショップなのに、物撮り時間が取れないというのも、なかなか悩み所ですよね(^^;・・・。)

今回紹介させて頂く織物は、タイ北部チェンマイ周辺などでつくられた幅広の浮織り布。

タイの浮織り布1

タペストリーやテーブルクロスなどとしても重宝なのでは・・・といった感じの、煌びやかさのある織物なのですが、この「タイの織物」を紹介させて頂く際に、いつもひとしきり悩むのが、
「どのカテゴリーに入れようか・・・(´・ω・`)」
という点。

と言うのも、今回UP予定のこの織物はタイ族をルーツにする文様が織り込まれた物で、実際にタイ族ルーツの人々も多く制作に携わっています。

タイの浮織り布2

と言いますか、元々タイの人々の中にはタイ族ルーツの人が多かったりもしますが(^^;、タイ製の織物の中には、制作背景的に「タイ族の織物」として紹介させて頂く方が適切な物も多くあったりします。
う~ん、悩ましい(´-ω-`)。

タイ族については、以前、こちらのブログで書かせて頂きましたが、なかなか頭がウニ(@_@)になるような複雑さ。

タイ・ラオス・ベトナム・中国・ミャンマーなど、広大なエリアに居住するタイ族ですが、こちらの織物にも、タイ族の織物と共通するナーガ(水の神)、タントラ、ドンソン文化由来の文様などが散りばめられており、タイ族の多く暮らすエリアでつくられた織物。

そんな訳で、いつもこうした産地&文様の織物をご紹介する際は、
「タイ(Thailand)の織物コーナーにしようか、タイ(Tai/Dai)族の織物コーナーにしようか・・・う~~ん(´-ω-`)・・・。」
と悩んだりしています。

でも、こうした民族的な云々を改めて調べてみると、以前は気が付かなかった事柄に目から鱗の時もあり、興味深いものだったりします。
という事で、今回、こちらの浮織り布は「タイの織物」コーナーに組み込んで近日中にご紹介予定ですので、どうぞお楽しみに。

その後は、ようやく完成したオリジナルアクセサリーの写真を撮って、UP準備をさせて頂こうかと思っております。
今回は、オール・カレン族シルバー製のネックレスやブレスレットを多く作ってみましたので、そちらもお楽しみに♪

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